ヒルクライム記録

練習内容やレースについてメモ的な感じで書いてます。

おんたけヒルクライム&大島ヒルクライムに向けた練習の記録(2021年12月20日作成→2022年10月6日再編)

 以下は2021年末に自分用に書いた練習メモを最近になって再編集したものです。FTPが4.5倍→5.1倍になった期間の記録になります。よろしければご一読ください。

 

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 2021年に2つの大会に向けて半年以上かけて取り組んできた内容を自分の中で整理しておきたいのと、ヒルクライム大会に出る人に向けて練習メニューや管理等に関する情報を提供したいと思った。(僕みたいな凡人レーサーでも、FTPのpwrを5月→10月末の間に4.5→5.1倍まで上げることができ、また、FTPテストはしてないので参考値ではあるが11月頭には20分5.3倍くらい出せていたみたいなので。)

これらのモチベーションから、目標としていたおんたけHCと大島HCが終わったこの機会に、それまでの練習内容についてまとめて書いてみた。



目次

  • 目標設定
  • 練習メニュー内容
  • 5月末~9月中旬 練習記録、所感
  • 9月末~おんたけヒルクライム(10/31) 練習記録、所感
  • 大会
  • 目標大会を終えた後に色々と思うこと




 

 

 

  • 目標設定 

 

2019年の秋~春はクリテを中心に大会に出場し、2020年の夏以降は実業団ロードレースを中心に大会に出場した。

2021年は3月のJBCF広島や4月の群馬などに出た。だが、その後数か月間大会にエントリーしないことになった。大会という目標が無くなったために練習のモチベーションを保てず、5月前半は自転車に触れすらしなかったのだが、5月の半ばくらいにどういうわけか、せっかくならしばらく大会に出ないこの機会にみっちり長期的にベーストレーニングをやってみようと思うに至った。そこで約半年後の10月3日のJBCF富士山ヒルクライムと10月31日のRCSおんたけヒルクライムの2大会を目標にピーキングをすることにした。

具体的には、大会まで一か月半を切ったら徐々に高強度を増やしていき、大会の2週間前から練習量を落とす。それまでの期間は高強度練習をあまりやらず、20分走を中心にやり、そして60分前後の低強度のペース走を時々入れる、というイメージを持った。

そこで以下の練習メニューを組んだ。



 

  • 練習メニュー内容

 

基本

一日目 20分SST走(FTP90~95%×2~3set)

二日目 1日目と同じ

三日目 60分75~80%ペース走

四日目 OFF or 流し 

これの繰り返し

 

一、二日目について

・20分SST×3が理想形

・20分走を完全一定強度でやるのが基本だが、途中で1分間100%に上げるといったIntervalを入れて動きをつける時もあった。

・時間がない日や体調が微妙な日は20×2、15×2、10+20に短縮。これは気分次第。合計のスイートスポット滞在時間は最低でも30分は行きたい。

・基本は95%。調子良くて踏めそうな時はFTP強度でやっても良い。

・いまいちやる気がないときは90%でも良い。

・20分こなせないときは10×2に短縮(この辺りは気分)

・10分も無理な時は5分×3、それでもだめそうな時は無理せず約30分流して終わり

・メニューはスマートトレーナーor峠でやる。

・峠を走るとき、登坂時間が10~20分なら1セットでカウントする。2~3セットできたら練習終了。それ以上はやらない。(なるベく次の日に疲労を残さないようにメニュー以外では絶対にパワーを出さない。メニューが終わったら疲労回復のことだけを考える。TSSを稼いでCTLを上げることより練習メニューを毎日継続して行うことに重きを置く。計画外の無駄な追い込みをしない。)

・5~10分の峠をSSTで登った場合、それだけでは足りないので帰宅後に追加でスマトレで20分以上のSSTをやる。

 

その他の注意点

・峠TT、FTPテストなどの極めて高強度のワークアウトはやるとしても多くて週1回。

SSTメニューの後に時間があれば低強度で長めに流す。

・TSSとCTLは一応管理する。

 

 

 

  • 5月末~9月中旬 練習記録、所感

 

上記のメニューを5月末から9月中旬まで継続した。

大学の授業の課題、期末レポート、ワクチン接種などで二日間以上オフにしてしまうことは時々あった。

7月中旬に白馬クリテに出ることになり、その前の一週間はコーナーと立ち上がりの感覚を思い出すために外でクリテ的な走り方の練習をしたのでSSTはあまりできなかった。

6月にFTPテストをやってから10月までFTP計測をしなかった(と言うかやる気の問題でできなかった)のだが、その間に徐々に体重が落ちていたのと、6月にはFTPの90~95%でメニューをやることが多かったが9月くらいにはFTPの100%付近でこなせることが多くなったので、本来は月一回はFTP計測をするべきだろうけど、意外とその時々で対応できていたのでFTPの設定値を変えなかったことは特に問題視していない。

以下は参考までに、6月と10月のFTPテストの結果である。

6/28 FTPtest 20min259w FTP246w/54.5kg (4.51)

10/1 FTPtest 20min255w FTP242w/50.0kg (4.84)

 

 

・ワクチン接種

 8月7日に一回目のファイザー接種で、三日間完全に休み、その後も二日は流して終わったので計5日間メニューを中断した。8月28日の二回目接種の後は5日間休んで二日流したので計7日間メニューができなかった。

ワクチン接種によって高強度のメニューを入れる時期が遅れてしまい(8月中旬のつもりだった)、10月3日に向けての調整が間に合わなくなってしまったので、10月3日の富士山ヒルクライムがコロナで中止になったのは結果的に良かった。10月31日のおんたけヒルクライムと、ついでに出ることになった11月7日の大島ヒルクライムの2大会にピークを持ってくるように調整できた。

 

・高地トレーニン

 第一回は8月23日~27日、第二回は9月7日~11日に高地(標高1500m以上)で練習。自宅(甲府市)から50分かけて山梨県山梨市北部の琴川ダム(標高1500m)まで行き、そこから大弛峠(標高2350m)までの区間で上記のメニューをやった。

高地に長期滞在することも検討していたが、金銭的な問題とコロナのこともあって、自宅から高地に通うということで妥協した。高地滞在とは異なり寝るのは標高260mの自宅なので、高地トレーニングの効果はかなり限定的だと思われるが、ものは試しと思って5日間ずつやってみた。ワクチン接種前後の期間に強度を上げて練習をするのが怖かったので、高地で強度を少し落として練習できたのは良かった。また、夏の一番暑い時期だったので避暑という意味でも良かった。

 この高地練習期間にどれだけ体力がついたかは正直全く未知数だが、一応9月末から10月の全てのセグメントTTで自己ベストを更新したという事実はある。



 

 

・9月末~おんたけ二週間前まで 高強度練習期間

SSTメニューを減らして、代わりに高強度の練習をやった。本来はあと2週間早く高強度を始めるべきだけど、ワクチン接種から日が経っていなくて始められなかった。また、高強度練習はFTP超のワークアウトをスマトレでやれば済む話なのだが、セグメントアタックのほうがモチベが高く限界まで力を出せるのでほぼセグメントTTで高強度練習をした。

SST練習と高地トレーニングの下積みのおかげで、行く先々で自己ベストを更新できるのでかなり気分が上がった。

コロナで中止になった富士山ヒルクライムだが、一応9月29日にタイム計測だけはやった。51:05で、過去大会のE3のリザルトでは5位以内には入れそうだけど3位以内は微妙という感じだった。

あと、何と言ったらいいのかわからないが、高強度練習を取り入れ始めた当初は今まで作り上げてきたフィジカルのベースと高強度でのパフォーマンスがつながっていないような感じがしていた。だがセグメントTTをやるにつれて(すなわち高強度域で練習することによって)それらが噛み合うようになってきた感じがした。目標とする大会の2~1か月前に高い強度の練習をやるのはこういうわけなのだと思った。だから、9月末よりも10月中旬のほうがパフォーマンスは上がっていたし、10月末はもっと上がっている実感があった。後から考えると、おんたけヒルクライムの時よりも一週間後の大島ヒルクライムのほうがパフォーマンスが良かったのは高強度を始めるのが少し遅れた結果、おんたけHCより大島HCに照準があっていたからなのかもしれない。

さらに、これは少し後悔しているのだが、大島HCが2ヒート制だとわかっていたのに峠タイムアタック20分を二本連続でやる練習はほとんどやらなかった。やったのは鳥坂峠(9/25)の一回のみ。しかもその時は、二本目は脚が重くて心拍が上がらなかったのでちゃんと二本とも全力を出せたわけではなかった。大島HC本番に向けて正直不安があったが、当時はおんたけヒルクライム(約30分の登り)を最優先に考えていたのと峠TT 20分×2本は身体的ダメージが大きすぎるのでこれ以上やらなかった。

一応参考までに、10月にスマトレで行ったTTの当時の自己ベストの数値を以下に記しておく。

10/13  30分登りTT(スマトレ) 31min 264w 20min 269w(大体FTP251wくらいはありそう。だとするとFTPは251w/49.5kg(5.08))

 

 

・おんたけヒルクライム2週間前~1週間前

 30分超のHC一本(琴川ダムまで)と10分以内のHC一本(和田峠)のみ。

琴川ダムまでのヒルクライムは昨年の同じ時期から1分更新した。和田峠甲府)は8:29が出た。今までどうあがいても8:40を切れなかったから、ようやくこのタイムを出せて安心した。セグメントのTop10入りもできた。

 

・おんたけヒルクライムの直前の週

 ほとんど何もしてない。




 

  • 大会

・10/30.31おんたけTT&ヒルクライム (詳細は別記事を参照)

 

・11/7 大島ヒルクライム

以下大島ヒルクライムの簡単なまとめ。

1本目19:50 251w(推定258w) 二本目19:32 254w(推定261w) 261w/49kg(5.32倍) 

一本目で約20分全力走した後の二本目で254w出てるからこの数値×0.95で大体FTPくらいってことにする。()内の推定値については4iiiのパワメの下振れを加味。4iiiのパワー値を、半年の間、ヒルクライム計算などの推定パワー値や同セグメント同タイムの他人(それでいてかつ体重公開してる人をわざわざ探した笑)のパワー値と比較し続けてみたが、(ものすごくアバウトな予測だが)おおよそ3~5%下振れているっぽかった。そのため4iiiの数値を3%増しにした数値を採用した。(この辺はめちゃくちゃ適当なので参考記録扱い。)

大島ヒルクライムの詳細なレポートは別記事にて。

 

 

  • 目標大会を終えた後に色々と思うこと

 

・たしか日本のトップ選手の誰かが言ってた気がするのだが、20分~倍×4本をこなせないとまずプロのレースでは話にならなくて(5倍か5.5倍か厳密な数字は忘れた)、駆け引きとか展開とかはその次だという話をしてたようなしてなかったような。これには私は納得できた。なるほど、そりゃそうだよなと思った。自分が今まで実業団ロードのE3で苦労してきたのはそもそもレースを走る上で必要なFTPの最低条件を満たしていなかったからだ。

2021年3月以前はいつも目先のレースしか見てなくて、短期間で結果を出したくて高強度練習や長距離の乗り込みばかりやっていた。だが、必要以上に疲労をためる割にはFTPは思うように伸びず逆に調子を落とすばかりで、結局大会で良い結果は出なかった。

大会にしばらく参加しないという状況が、逆に、僕が本当にやらなければいけなかった練習に気付くきっかけをくれた。半年以上かけてベーストレーニングをやってみて、大げさな言い方をすれば見える景色が大きく変わった。一年前よりずっと速いスピードで峠を登れるようになった。21年のおんたけHCで序盤のペースが去年より遅く感じたのもそうだ。周りのペースが遅かったのではなく、昨年と同じペースを余裕に感じられるようになっていたのだ。自分に必要な練習方法にもっと早く気付いていれば良かったなと思う。

私がレースに参戦した2019年の当初から、私の身近には強いレーサーが多かった。私は常々劣等感を感じていた。ひたすら長い距離を乗り込んで強くなり多くのレースで表彰台に上がっているとある高偏差値大学のレーサーとか、E1で優勝しちゃったやつで、とりあえずいろは坂2分インターバルだけやっとけしか言わない同級生のレーサーとか、そういった異次元な人たちと自分を比較してしまっていた。彼らの勇姿を近くで見ていて、長い距離を乗ることや自分を極限まで追い込んで練習することが正義だと無意識に思い込んでいたし、疲れていて気分が乗らないから練習を休むといったことが罪だと思っていた。その時期にやっていた(私にとって)非合理的な練習で全く成長しなかったというわけではないけど、今の方法ならもう少し早く成長できただろう。実際、和田峠陣馬山)のタイムは2019年の6月に16分50秒で、その後一年間タバタとかその他にも鬼のようなインターバル練とロングライドばかりやったのに、2020年の初めに16分30秒とあまり成長しなかった。(コンディションとかその他の要因も色々あるだろうけど。)今(21年12月)なら和田峠で14分ジャストくらいを狙える実力がある。(11月3日に和田峠を14分5秒で登ることができたので。)

もちろん彼らが間違った練習方法をしていた訳では無い。彼らは僕とは比べ物にならないほどの成果を上げているのだから、彼らにとってあの練習は正しいに決まってる。問題は、彼らほどの才能を、基礎体力を持たない僕が、彼らの練習方法をそのまま自分に適用してしまったことであろう。

2021年春からしばらく大会に出なくなり、加えて緊急事態宣言で大学の対面授業がなくなったことで、恥ずかしながら私はほとんど実家に引きこもりみたいな状態になったのだが、そのおかげで、結果的に、自分の周りの強すぎるレーサーの成果や練習に関する情報から距離を置くことになった。無意識に周りの強豪選手と自分を比較していた私にとって、この期間は自分だけを見つめる案外良い機会になった。

それで、自分が信じた練習だけを半年以上迷うことなく継続できた。

 

 

・以下はかつての私みたいに伸び悩んでいるレーサーに伝えたいことである。

①追い込みすぎない。疲れているときは無理せず休むor流す。休むことは罪ではない。でも練習後の疲労回復をおろそかにしたことによって次の日の練習ができなくなるのは罪。

②ベースができてない段階(私で言うとFTP4.5倍以下の段階。体重によって目安は変わると思われる。)は短時間高強度の練習をやる段階ではないので20分走のインターバルと低強度ペース走をやるのが良いのでは?と思う。(これはTT,ヒルクライムの場合は当然当てはまるが、ひょっとすると出るレースの種類によって(例えばクリテなどでは)違うかもしれない)

③TSSを稼いでCTLを上げることより、目標に対して合理的な練習メニューを毎日継続することを最優先にする。メニュー以外で脚を使わない。次の日に疲労が残りやすくなってしまい練習メニューの継続に支障をきたすので。

⑤60分未満のレースしか出ないレーサーが楽しくロングライドばかりやって必要以上に時間を掛けたり疲労をためたりするのってなんか意味ある?

(私の個人的な意見(偏見)です…)

 

要するにFTPのPWRは正義であり、それを自分が出場するレースで通用するために必要な値まで上げないと話にならない。そのためには20分のSST走を中心としたメニューを継続して基礎体力を上げるというのが遠回りなようで以外と一番近道だと思う。

 

 

 

 以上長くなりましたが、21年春から秋にかけてのヒルクライム大会に向けた取り組みの紹介でした。